† Lの呪縛 †

不思議そうな顔をするジュリアンナに、エリオットは微笑みかけ、ある女性の話を始めた。


女性の名は、エリザベート・バートリ。


十六世紀にハンガリーの大貴族の娘としてこの世に生を受けた女性。


エリザベートは若さと美しさを取り戻すため、およそ七百人もの若い娘を惨殺したとされている。


鉄の処女や鉄の鳥籠など、あらゆる拷問器具を使い少女達の身体中の血を搾り取った。


少女達が痛みと苦しみに涙を流し、悲痛な叫び声をあげる中、エリザベートただ一人だけが狂気に満ちた笑い声を上げていた。


エリザベートは少女達の若くて新鮮な血で湯浴みをし、喜びの声を漏らした。


若い娘の血を浴び美しさを保っていたというエリザベートの話を聞いたジュリアンナは、瞳を輝かせた。


ジュリアンナは直様使用人に、街から若い娘を捕らえてくる様命令を下した。


この事を知っているのは、ジュリアンナが信頼している限られた使用人だけ。


初めのうちは若い娘の血で湯浴みをしているだけで心が満たされていたが、それにも段々と物足りなさを感じていった。


直接体の中に入れた方がいいのでは……と考える様になり、今では晩酌で血を飲み、眠る前には血のバスタブに浸かるようになった。


エリオットと作った秘密は、ジュリアンナの恋心を余計に燃え上がらせた。