† Lの呪縛 †

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ーコンコンコン。


キャンドルの灯る薄暗い部屋の中に、メイドが入ってきた。



「失礼致します。 奥様、レッドフォード様がお見えでございます」



女性は食事をする手を止め、ナプキンで上品に口元を拭った。



「通して頂戴」

「畏まりました」



メイドは深くお辞儀をすると、静かに部屋を出て行った。


女性は赤い液体の入ったワイングラスを手に取り、一口飲んだ。


目を瞑り、喉を動かす。


口元に薄っすらと笑みを浮かべ、その味に酔いしれている。


ーコンコンコン。



「失礼するよ」



女性はドアの方へ顔を向け、妖艶に微笑んだ。


立ち上がり、見つめ合う二人。


言葉を交わすよりも先に強く抱きしめあった。



「会いたかったわ、エリオット」

「私もだよ」



唇を重ね、舌を絡める。


窓すらない篭った部屋に甘い声が響く。


唇を離したエリオットが女性の唇を撫でた。



「今日の味は中々のものだな」

「街では美しいと評判の若い娘の血だもの、前回の娘よりも美味しくなくては困るわ。 やっぱり十代の娘がいいわね」

「どれ程の娘であろうと、君の美しさには敵わないよ」



女性は嬉しそうに頬を赤く染め、エリオットの胸に頬を預けた。