† Lの呪縛 †

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ダグラスがベッドの上でアーリーモーニングティーを飲みながら、渋い顔をして新聞を読んでいる。


クレアはダグラスの肩にもたれ、小さく欠伸を漏らした。


眠気を覚ます為、紅茶を一口飲んだ。



「朝からそんなに怖い顔をしてどうしたの? ハンサムな顔が台無しよ」



明るい口調のクレア。


寝起きで少しトロンとした声は、柔らかい。


そんな事を言われれば、いつもなら笑いながら新聞を置きクレアを抱きしめるダグラスだが、今日は違った。


新聞から目を離さない。



「ダグラス?」



心配そうにダグラスの横顔を見上げるクレア。


ティーカップを置き、腕をダグラスの腕に絡めた。



「また殺された様だ」

「殺されたって……?」

「娼婦だよ。 今回は二人だ……これで四人になる」



クレアはダグラスと同じ様に、眉間に皺を寄せた。


ただの娼婦殺害であれば、二人とも気になど止めないだろう。


だがこれはただの殺人事件ではない。


それは二人だけではなく、イギリス中の人間が思っている事だろう。


残虐極まりない殺害方法。


だが普通に働き暮らしているものたちは、少なからず安心しているかもしれない。


殺害されているのは皆娼婦だから。