ある朝、私は教室の変化に気づいた。
それは……
「ねー、立花くーん」
ユキだ。……あれ? 今、ユキが話しかけてる人って……。
嘘だよね? どうして?
あ、思い出した。クラスメイト子たちが言ってたこと。
あれは、本当だったんだ……。
認めたくはなかった。ユキと私は友達だから。
立花くんって言うんだ。あの男の子は。
あれ、あれれ?
なんか、2人を見てると、胸が痛くて。
注射よりも痛いよー…。
ユキ、お願いだから、苦しめないでよ。
立花くんと、しゃべらないでよ……。
私が1番に好きになったのに。
始めてだったのに。
恋したこと、立花くんが始めてなのに。
「ぅっ……」
気がつけば、私の頬には沢山の涙がこぼれていた。

「美音ー」
今、1番会いたくない人が、私の名前を呼ぶ。
「お昼一緒に食べよー」
どうしてユキはこんなんなんだろう。
私も、ユキに好きな人言ってないけど。
ユキはどうして、遠慮というものを知らないんだろう。
「美音、今日アイプチしてみたの! どう?」
普段しないくせに。今日は立花くんとしゃべるためにアイプチしたんでしょ。
…私、ひどいことばっか言ってる。
最悪……。
「あのさ!」
私は、ユキに好きな人を言おうと思い、硬い口を開けた。
「どうしたの?」
ユキが尋ねる。
「私……、立花くんのこと好きだから、あんまりしゃべらないで」
私なりに、ストレートに言えた気がする。
そんな私とは裏腹に、ユキはいつも通りの涼しい顔をしていた。
「ふーん……。でも、わかってたよ。美音が、立花くんのこと好きだって」
な、何それ。結局、ユキはなんなの!