そのまま、体育館に引き込まれる。
顔を見なくてもわかる。
電気のついていない、体育館のドアがしまる。
「先生?」
つかまれていた腕は、やっと解放されたかと思うと、今度は身体ごと引き寄せられる。
久しぶり。
先生の胸の中は・・・タバコのにおいとお日様のにおい。
暖かくって落ち着くのに、心臓はドキドキする不思議な感覚。
「なぁ、話あるの?」
私は・・・やっぱりばかだ。
心配させてんじゃん。
でも、ただなんとなく・・・嘘はつけない。
「ある・・・けど・・・」
「忙しいからって、遠慮してんだろ?ごめんな」
「ううん、いいの。たいしたことじゃないから・・・」
先生は私の背中を、まるで赤ちゃんをあやすように叩く。
「それならいいけど、そうじゃないんだろ?朝からすごい元気ないもん、お前」
そんなこと言われると
私また甘えちゃうよ・・・
今はだめだ
「修学旅行終わったら、また聞いてくれる?」


