それだけ ~先生が好き~



・・・昨日のことが現実であるからこそ

先生には言いたくない。


だって、もうすぐ修学旅行なんだよ?


いくら・・・付き合っているから何でも言えって言ったって・・・

だめだよ。


やっぱり、楽しい気持ちで行ってきたい。

それに、先生会議ばっかで疲れているだろうから。



泣かない。


泣くな、私。



私は手に力を込めて、先生の目を見た。


こんなに真っ直ぐ私を見てくれる先生のどこが怖いんだろう。


怖いわけない。



「・・・ごめんなさい、忙しいのに。あ、えっと、やっぱりなんでもないです」



ばか。


もっと他に、良い言い方ないの?

それじゃあ、あんまりにも不自然だよ。



「失礼しました」



だめだなぁ。


全然だめだよ。


これじゃあ、先生変に思うよね。



職員室から、なるべく早く遠ざかろうと走った。



ごめんなさい。


もっとうまく笑わなきゃ・・・



「きゃっ!!!」




急に腕を引っ張られた。



誰?