それだけ ~先生が好き~




「失礼しま~す、松戸せんせー!」



げっ・・・


悠、何言ってんの?



すぐそこの席でコーヒーを飲んでいた先生は、顔をひょこっと見せる。



「はい、何か?」



私、何で逃げてるんだろう。

先生が怖いの?



目の前にいる先生が・・・私を見つけて目を丸くする。

よくやるこの癖が、すごく好き。



「俺になんか用?珍しいな」



悠は私の腕を引っ張って、先生の前に突き出す。



「話、聞いてあげてください。何か元気ないから」



悠は、「失礼しました」と言って出て行ってしまった。


先生は、コーヒーを置いて、身体をこっちに向けた。



「どうした、朝元気なかったろ。あと・・・俺のおはようを無視したなぁ?」



いつもなら


泣いて、「先生~」って・・・言うんだ。



だけど


今日は・・・だめだ



やっぱ



現実なことを実感する



嘘なんかじゃない



きっと・・・