「なんかゆきってさ、体育の時間常に寝てる感じじゃない?パスしてもスルーされそ~!目覚ましかけとく?」
そう言って、みんなを笑わせる。
飾り気のない悠は、本当にかわいくて、うらやましい。
「ほらぁ、ゆき!起きろって!!ボールボール!!」
「え、えぇぇえ?どこ~?・・・あ~!!」
「ぎゃはははは!!!ゆきしょっぼい!!起きろって!」
悠がものすごく笑うから、私も笑っちゃった。
こんな風に、何も考えずに笑うのが、久しぶりだった。
とてもすがすがしくて、気持ちよくて・・・
こんな時間があるなんて、知らなかった。
悠の笑顔は、みんなを笑顔にする。
不思議なんだ。
「おらぁ!!悠!!このヘタクソ~!!!」
この大きな声は、担任であり、体育の担当である・・・後藤先生。
後藤先生は、松戸先生とはぜんぜん違う。
適当って言葉がぴったりな先生。
授業の前に話なんてしないし、みんなを下の名前で呼ぶし、パイプイスに座って見ていたりしないで、みんなに混じって参加する。
HRも超短い。
そんな授業も、また新鮮だった。
親しみやすい先生、って感じかなぁ。
「うるさい~!先生もやってみろって!!絶対できないね~」
悠は笑いながら、ボールを先生になげる。
楽しいって、素直に思える。


