合唱祭当日。
晴れた空に、太陽が眩しい。
ホールまで一緒に行く私と晴香は、先生の話ばかりをする。
平気なふりして、晴香の先生話を聞くのが癖になってる。
そうして手に入れた先生情報を、頭のなかで勝手に妄想して再生する。
道の途中、いろんな先生が立って挨拶してる。
晴香は先生を探すのに必死。
「先生どこに立ってるんだろ?おはようございます言えるかな・・・」
「言えるよ、見つけなきゃね!」
赤信号で止まって、目の前を車が通り過ぎた後・・・。
向こうの信号の下で空を見上げてる先生を見つけた。
晴香は別の方向を見てる。
言わなきゃ。
先生あそこにいるよって。
おはよう言いなよ!って・・・。
身体が震える。
言わなきゃ・・・。
先生が、こっちを見た。
グレーのスーツに、ピンクのネクタイ。
怖い
「・・・晴香!先生だよ!!」
先生から目をそらして、晴香に耳打ちする。
もう私は先生の方を見れない。


