今日から器械体操。
身体の硬い私は、去年は前転すらうまくできなかった。
先生は、「なんでそうなるの?」って笑ってた。
何をしてても思い出す。
今まで以上に思い出してしまう。
萌と体育館へ向かっていると、晴香が走ってきた。
長い髪をなびかせながら、可愛い笑顔で私の背中に抱きついた。
「ゆきたち、体育??いいなぁ、先生の授業・・・ゆきたちと一緒だったらもっと楽しいけどね」
にこにこしながら私の肩をつつく。
晴香はそんなこと思ってくれるんだね。
私が先生を好きなことを知っている萌は、複雑そうに笑った。
そういえば萌に先生と付き合ったことを報告する間もなく・・・別れてしまった。
なんとなく知っていたんだろうけど。
よく私を職員室に連れて行ったり、先生を呼んだままどこかへ行ってしまったりした萌だから、知っていたんだろうね。
もしかしたら城田から聞いていたかもしれない。
せめて一度でもシアワセな報告をしたかったな。
「じゃあね!晴香も勉強頑張りなよ~」
晴香に大きく手を振った。
素直で可愛い晴香は、笑うようになってもっと素敵になった。
先生の・・・おかげなんだよ。


