予鈴がなって、黙ったまま二人で教室に入った。


朝練はほとんどの人が参加していたみたい。


二人で教室に入ってきた私たちは、みんなからの視線を受ける。



「おい！城田、今井さんとやっぱ付き合ってんの？」



誰かの声が響いた。


その声の主を探す気力もわかなかった。


萌が心配そうに私の机に駆け寄ってきてくれた。



「・・・そんなわけないのにね。城田に悪いな」


萌は私の小さい声をこぼさず聞き取ってくれた。


「何言ってんの！城田はちゃんとわかってるよ」



そっか。



城田は私よりちゃんとわかってるはず。


私が好きなのは先生だってこと、城田が一番良く知っているから。



否定も肯定もしなかった私たちに、視線が集中する。



だけどどんなことがあっても、城田は私を避けたりしなかった。



気づいているのかな。



明らかに元気のない私に気を使うように、休み時間のたびに寄って来てはくだらない話をしてくれた。



城田、だめだよ。


もっとみんなが誤解するよ。


からっぽな私の笑顔は、全部見透かされてる気がする。