それだけ ~先生が好き~



階段を上っていると、いろんなクラスの歌声が聞こえてきた。


自主的に朝練してるんだね、どこのクラスも。


もちろん私のクラスも始めていたけど・・・私と城田は完全に遅刻。


もうすぐ予鈴がなる。



「今から行ってもめんどいし、さぼるか。つってもあと3分で予鈴なるな」


壁にもたれて私の顔を覗き込む城田。

目を逸らすばかりの私。


城田にも言ってない。


あんなに応援してくれた城田にも言えない。



・・・言わなきゃいけないんだと思う。


でも、平気な顔して別れたなんて言えるわけない。




「なんだよ、さっきから。何かあった?」


先生みたいなこと言う城田の顔をますます見れない。


城田の仕草ひとつひとつが先生に似ていて、逃げ出したくなる。



壁にもたれる姿も、


顔を覗き込むのも、



身長も、



話し方も。





泣きそう。






自分で選んだ結果なのに、どうしてこんなに悲しいんだろう。