[――それでは只今から、地球型惑星有人探査プロジェクトについての記者会見を始めさせていただきます]


司会の女の声に座ったまま一礼する。

協会は広めの部屋を選んだそうだが、奥の扉まで報道陣がぎっしりだった。


(ご苦労なことだな)


プロジェクトの概要が、リーダーから説明される。

分かっているのか分かっていないのか、それとも分かる気が端からないのか、説明中から記者たちのフラッシュが理得を射た。


もう慣れた。


けれど、不快感に代わって憂鬱感が身をつつんだ。





[ドクターシラセにお尋ねします]


会見は、いつの間にか質疑応答へと進んでいた。

続く質問の予想はついている。

マイクを握った手が、汗ばんでいた。

だが、もう震えるような無様な姿はさらさない。


(こいつらは)


私が震えるのを期待してる。

涙声になるのを待ってる。


(だって)


そのほうが売れるもの、ね。