アサが走るのを中断して、頭に手を回しながら歩き出す。


「誰だってあんないきなり無茶言われたら、受け入れるのに時間かかるよな‥‥」


「ヒサは、レナのためにあんなことを‥‥」


「どうだろうな。案外あいつも自分のためなんじゃねーの」


でも、ヒサが考えてることはヒサにとってはメリットなんてないんじゃ‥‥


「あいつだって、レナに惚れてる。あいつが考えてることをレナが知ってみろ。俺らの大好きなレナのとびきりの笑顔が見れるんだ」


アサがレナのことを赤ずきんじゃなくて普通に呼んでる。


「ま、俺らの足りない頭で考えても分かることはねーか」


「‥‥そうだな」


「ところで、ユウコ」


さっきはチビトラとか呼んできたくせに、名前でいきなり呼ぶもんだから眉を寄せながらアサの顔を見てしまった。