黒縁メガネをかけながら、サヨさんの瞳がレンズの奥で細まる。


「聞きたいことがあるのですがいいですか」


キッと椅子が高く鳴いた。


「なんですか?」


「レナさん、血は平気なのです?」


血‥‥あぁ、そっか‥‥。


「血は大丈夫ですよ」


「そうですか」


「でも、」


指に巻かれたバンソーコーを見ながら、呟いた。


「大丈夫なのは、自分の血だけです。ほかの人の血は‥‥ダメです」


そう、自分のはいくら見ても平気だった。