遥が冬馬くんから変な電話が来たと相談してきてくれてからもう3週間ほどたった。
毎日遥に[冬馬くんから電話きた?]と聞いているがいつも遥は首を横に振るばかりだった。
「彩香…?」
『ん?遥…どうしたの?』
「あのね、冬馬くんから…電話がかかってこないの…。
やっぱり私…嫌われちゃったのかなぁ」
『遥…大丈夫だよ…。きっとかかってくるって…』
「どうして…」
『え?』
「どうして!そんな…何の根拠もないのにそんなことがわかるの!?
彩香は彼氏とかいないからそんな簡単にものが言えるんだよ!!
彩香は…私の気持ち、全然わかってない!」
そう言って、遥は教室を飛び出してしまった。
『遥!ちょっと待って!遥ー!!』
遥…辛いよね…私は今、彼氏がいないから遥の気持ちがわからないかもしれない…。
だけど、私だって彼氏くらいできた事だってある!
私が彼氏いた時は、めちゃくちゃ遥に相談してすごい助けてもらったっけてん。
遥は、自分の事のように一緒に悩んでくれたてん。
なのに…。私は何の根拠もないのに勝手なことばかり言って…。
遥は今、すっごく辛い思いをしてるんだ。
こんな時に大切な友達を助けることができなくて何が親友だ!
私は決断した。遥が私を助けてくれたみたいに、私も遥を助ける!
私は廊下へ走りだした。
『ハァ…ハァ…。遥ー!遥ー!ハァ…ハァ…』
たく!遥、どこにいんのよ!これだけ探して見つからないなんて…。
『遥ー!!』
「こらっ!そこの生徒、静かになさい!職員室前で…なにやってるんですか?」
『あ…ちょうど良かった!先生、遥を見ませんでしたか?
2‐B、山崎遥です!見ませんでしたか?』
「いいえ。そんな事よりあなた…」
先生の話を最後まで聞かずに遥を探しに学校中を走り回った。
『遥!遥ー!』
どうして…。どうしていないのよ…。靴があるからまだ帰ってないのは確かだし…。
あと、見てないのは屋上。でも外はドシャ降りの雨が降っている。
ま、いっか。雨が降っててもそんなのどうでもいい!
そこに遥いるんだったら私は遥に会わなきゃ!
屋上の扉を開けると…そこには雨に濡れた遥がいた。
驚いた顔をしていた。
『遥…こんなとこにいたの?さがしたんだよ』
遥の方に近づくと遥は少し後ずさりしたように見えた。
『待って!』
「…こっちに来ないで!
あなたも濡れてビショビショになるよ?」
『何よそれぐらい!雨に濡れるぐらい、どうだっていいわ。
ねぇ…遥。ごめん!』
私は遥に向かって深く頭を下げた。
「…なによ。彩香に何がわかるっていうの?」
『わかるよ!私だって彼氏ができたことぐらいある。
遥、知ってるでしょ?私は彼氏の相談、全部遥にしたもんね。
私、あの時すっごく助かった!遥に助けてもらったんだよ!
遥は文句1つ言わず、いつも真剣に聞いてくれた…。
そして、自分のことのように一緒に悩んでくれたじゃない!
今は、遥が悩んでる。今度は、私が遥を助ける番!
だから、私にも一緒に悩ませて?
私にできることがあるなら…私、なんでもするから』
そう言ったあとの遥の瞳は、涙でいっぱいだった。
「彩香…。うっ…彩香ー!」
遥…泣きすぎだよ。
「彩香…彩香…。ごめん!ごめんね!」
『ううん。私の方こそ、本当にごめんね。
ほら、遥…泣きやんで?今度は私が力になるから!」
そう言って仲直りした。
雨はいつの間にか止んでいた。午後だったから夕立だったのかな。
雨が止んだ後の空は、きれいな青空が広がっていて、虹がかかっていた。