護り人

禮人は後悔していた。

行き方ばかり見て帰り方の方法を見なかったことに。
(くそっ、せっかく会えたのに帰れないなんて。これじゃ何のためにわざわざ来たか分からないじゃないか)

禮人は泣きたくなった。

梨沙はすーと立ち上がると歩き出した。

禮人は慌てて腕を掴む。

「どこ行くんだよ梨沙。あの老婆に見つかるだろ」

「ちょっとそこまで。すぐに戻るよ」


「ダメだよ、危ない」

「トイレだからすぐに戻るってば。気付きなさいよそれくらい」


梨沙は顔を真っ赤にして怒鳴った。

「ご、ごめん」

禮人はすぐに手を話した。
梨沙の後ろ姿をぼーと見ていると、

梨沙が振り返り、

「見たら殺すから」

と、言った。

禮人は慌てて逆方向に顔を向けた。