護り人

禮人は経緯を話した。

「えっ、嘘でしょ。私、意識不明なの?」

梨沙は自分のいる状況を驚いた。

「そうだ。確かに事故にあって、救急車の中で意識が遠退いて、気が付いたらここにいて」

「ここはまだあの世じゃないよ。正確にはあの世とこの世の境目だ」

「境目?」

「親父が持ってる書物によると、境目に来た人間をあの世に無理矢理送る、案内人がいるって書いてた。つまりさっきの老婆が案内人だと思う」

「なら、あの老婆に見つからないように気を付けないと」

梨沙が震える声で言う。

「また来ても押し倒してやるさ」

禮人は笑顔で言った。

「ありがとう。でも私達ずっとここにいるのかな?」

また長い沈黙がおとずれた。