護り人

いままで気がつかなかったがいつの間にか周りには濃い霧が立ち込めていた。

「いつの間にこんな霧が」
その霧はどんどん濃くなっていく。

「まずいな」

これ以上濃くなったらますます探せなくなる。


禮人は焦りだしたが、

少し先に黒い影が見えた。
「梨沙、梨沙なのか」

禮人は影に近づくと、悲鳴をあげて尻餅をついた。

その影は人だったが、全身が真っ黒にやけていた。

その人物がそのまま歩いていくのを見ていると、

どこからか現れた、黒装束を着たしわくちゃの老婆に囲まれ、持ち上げられるとそのまま連れていかれた。

その時、叫び声が聞こえる。

その声は紛れもなく梨沙の声だった。

禮人はすぐに立ち上がり、声のする方向に走った。