ごめんねと、彼は申し訳無さそうに言った。



「君を幸せにするのは私がいいんだ。ね?欲深いだろう?本当は君の幸せのためなら、喜んで手を離そうぐらい言えたらいいんだけど……」



それは無理だね、と彼は笑う。


「本当にごめんね。こんな奴に捕まって」



相変わらず頭を優しく撫でてくる彼の手を、俺は掴んだ。



「謝らなくていいよ。だってさ、」



首を傾げる彼に、俺は笑ってみせた。



「あなたが居ないと、幸せになんてなれないよ。」



彼は瞠目した。



「あなたは俺が捕まったと言ったけど、捕まえられたのはあなたの方かもしれないよ。」

「私……?」

「そうだよ。あなたの隣は俺のものだって決まっているんだから。」

「ふふふ…」

「離してなんかあげないよ。」

「なんて甘い言葉なんだろう。」



彼は嬉しそうに目を細め、啄むようなキスをした。



――END――