奈緒はなんて言ったらよいかわからなくなった。そして、美由紀に聞いた。

「それからお母さんはどうしたの?」

美由紀は涙を拭いて、話し始めた。

「それから、風の便りで悟くんが結婚したと聞いたわ。お母さんはあなたのお父さんに当たる

 人と結婚した。だけど、仕事もせずに暴力ばっかり振るってた。だから、まだ幼い

 あなたを連れて逃げた。」

「・・・、そうだったんだ。」

奈緒は急に怒りがこみ上げた。どうして悟さんはこなかったのだろう。

これではあまりにも母がかわいそうだと。

「お母さん・・・、あたし探してみるよ悟さんを」

「え・・何言って・・、てちょっと!」

気づいたら奈緒は飛び出していた。