バタン



「お母さん!」



病室には、悟や修がいる。


「奈緒ちゃん・・。」



「お母さんは?一体何があったのよ!!」

修が言った。

「帰ってきたらいきなりこういったんだ。『迎えがきたみたいだわ』って。


 そしたら・・衰弱したんだ。」



すると、美由紀が口を開いた。


「おかあさん!」


奈緒が駆け寄る。


「奈緒・・、修くんと幸せにね。わたし・・もう行かなきゃ。

 それと、悟くん。短かった時間だけど、幸せだった。この日のために生きててよかったで

 す。」


「うああ!お母さん!」


美由紀は眠るように目を閉じた。もう、この世に戻ってこない眠りに。


空は曇り空だ。なのに、ど真ん中に光が差している。そしてその光が

美由紀のいる病室に入ってきた。

この道を登っていくのだろうか。


病室には泣き声が絶え間なく続いた。