携帯に電話が入る。修だった。

「今から会える?」


そう言われて、奈緒は公園にやってきた。すると、修もやってきた。


「あのさ・・、俺・・。あなたと一緒になりたい!」



「どういうこと・・・?」


「だから、僕と結婚してください。」


戸惑った。確かに自分は修と一緒になりたいと思っていた。

だけど・・、また大切な人が消えてしまいそうな気がした。

自分が愛した人はみんな消えてしまう・・。

それに、透に申し訳なかった。


「ごめんなさい。わたし、わたし・・・・・。」


涙が溢れた。誰にも言えなくって、辛くてたまらなかった。

そして、すべて修に話した。

「・・奈緒ちゃん・・、これ見て。」

急に修はシャツを脱いだ。すると、たくさんの刺し傷と思われるものがあった。


「これさ、高校生の時に、強盗に襲われた時に刺されたんだ。

 もう、絶望的だった。だけど、奇跡をおこしたんだよ。」


そして、奈緒の手を握った。


「俺は、君がばあちゃんになって、死ぬ時が来たときまで俺は死なない。

 俺は、死なないよ!君を残して・・。」


その言葉は、あったかくて、嬉しかった。透のことで罪意識があった私だったが

今その重荷が下ろされた感じがした。



「・・・透、いいのかな。」



すると、奈緒には「いいよ」

と聞こえた気がした。