「医院 悟」

ネットでこのワードを検索したら、山本医院とでてきた。

院長は、山本 悟となっていた。顔写真がでてきて、その表情は笑顔だった。

この顔どこかで見たような。

奈緒はそう思ったが、気にせずに実際に行くことにした。


*             *            *


ピンポーン


「はーい」


山本医院と、悟さんの家は繋がってるらしい。

中からは優しい男の人が出てきた。


「あの・・悟さんはどなたですか・・・?」

「・・わたしです。」


「あ・・。」


奈緒は、客間に呼ばれた。テーブルには、紅茶がある。

「要件はなんですか?」

優しい口調で、悟が言った。

「あの・・、小野寺・・いや服部 美由紀さんわかりますか?」

奈緒は、美由紀の旧姓で言ってみた。

すると、悟の顔色が変わった。

「・・・よく覚えています・・。忘れられません。」


「わたしは、娘です。小野寺 奈緒です。」


「そうですか。美由紀さんもあのあと結婚したんですか・・。」

奈緒はついに言った。


「どうして・・、あの日こなかったんですか?母はずっと待っていたんですよ?

 ずっと・・・。まだあなたのことがわすれられずにいます。

 今、あと一ヶ月しかもたないって医師が言ってました。そしたら、「悟くんに会いたいよお」

 って・・・。」

奈緒は、一気に喋った。悟は、黙って聞いている。