琴海との約束も破らなくてすむ。 ・・・引っ越そう。 「でも、父さん」 「いいんだよ。俺がそうするって決めたんだ」 「・・・・・・」 「嬉しいなら嬉しいって言えよ。・・・これが再開して久々の、俺がお前にする“親らしいこと”なんだから」 「・・・うん」 顔は見てないけど、多分喜んでるだろう。 さっきまで止まっていた悠里の手が、またボールを撫ではじめていた。 シュルシュルという音が懐かしい。 「これから二人で頑張ろうな」