「幼稚園とかで“お前の父さんデベソ”とかっていじめられてもしらねーぞ」 今どきそんな奴いないだろうに。 「悠里くんだっけ?ママがいなくなって寂しがってるのはゆっきーだけじゃないだろ」 「もういいだろ。黙ってろ」 「えー」 これ以上詮索されてばれてしまうのが怖くなった。 まさか隣にいる人間が自分の息子を捨ててるなんて知ったら、こんな山田ですら俺を見捨てるだろう。 軽蔑するだろう。 誰にも言っていない秘密。 一生墓場まで持っていくんだ。 「なぁ」