いや、それはもしかしたら俺の手の震えかもしれない。 悠里を抑え込んでいるこの腕が震えているのかもしれない。 「琴海・・・」 周りの音にかき消されて、俺の声が琴海に届くことはない。 先生、琴海はね? 琴海は・・・ このまま帰ってこなかったんですよ―――。 あなたがいくら頑張ってくれても、琴海は帰ってこなかったんです。 あのときは、その目を開けてくれはしなかったんです。 でも・・・それでも俺は望んでもいいですか? あのときと同じように。