パトカーでパトロール中、山田が「そういえば」と不意に口を開いた。
その声はあっけらかんとしていて、またいつものどうでもいい話だと思って俺は適当に聞き流す。
「この前の公園のアヒル。ちょっと有名になってきたってさ」
「あぁ、この辺りじゃ珍しいしな」
「お年寄りから子供まで、皆興味持って見に行くんだってさ」
「ただのアヒルなんだけどな」
体が白くてくちばしが黄色なでっかい鳥。
動物園に行けばいつでも会えそうなものだ。
遊園地に行けばボートだってある。
アヒルボートとまで名づけられてるほどだし、充分アヒルだ。
「俺も写メればよかったな」


