目の前の顔が一瞬だけハトが豆鉄砲を食らったかのような顔をしたものの、すぐに視線を横にずらし「ウソじゃない」と誰かに呟く。
「はいはい」と勝手に俺は歩き始め、琴海の腕を静かに引っ張る。
「ちょっと!」
そんなこと言いながらもう「放せ」とは言わないんだから。
可愛いやつだ。
「琴海、あとどこ行きたい?」
「私の話は無視?怒ってるって」
「だから怒らせたから、お詫びに琴海が行きたいところに行かせてやるって。それでいいか?」
咄嗟に作った文句だけど、これでなんとか事がおさまればいいのだが・・・。
「・・・やだ」


