「キャッ」と琴海の体がふらつき、俺も必然的に体制が崩れかけた。
「待って!嫌だから!」
「そんなこと言ってらんないから。とにかく歩こう」
「ゆきっ―――」
『お二方っ』
「「・・・あ」」
呼ばれた方を振り向けば、そこには口元が血だらけになったドラキュラがいた。
俺は、こんなメイク誰がしたらこんなにもリアルになるんだろうか、と感心していた。
こんなやつが他にもいるのかと思うと若干楽しみだったけど、それは俺だけだった。
「いや―――――――っ!!」
鼓膜が破れんばかりの琴海の悲鳴で、結局その後は走らざるを得なかった。


