ただあくまでも、今一番近いそれは出口じゃなくて入り口だから。 「掴んでていいから」 「もうっ・・・やだぁ・・・」 このままここにいたら次に入ってくる人の邪魔になりそうだし、無理やりにでも歩かないといけない。 一歩俺が足を踏み出しても、琴海は断固として動こうとはしない。 やっぱりだめか。 「歩くぞ」 「やぁ・・・」 「じゃぁお姫様抱っこしていくぞ」 「そんなのっ」 琴海の気が緩んだ隙に、俺は足を動かした。