一向に返事がない。 もしかしたらまだ怒ってる、とか? 終始無言の琴海に、それでもとにかく話しかけてみる。 ・・・俺たちの高校生活最後の文化祭ってこんな感じだったっけ。 俺が一人でしゃべる光景は、傍(はた)から見ればただの独り言だろう。 このまま文化祭が終わっていくのか、と思ったとき。 「・・・あ、琴海!これ入るぞ」 「・・・あ!やだ!」 咄嗟に手を引こうとした琴海の手を更に強く握り、放させないようにする。 「無理!無理だから!」