「あんなこと私にだけ言ってよ・・・」 目を泳がせて俺の方を見ようとはしない。 でもきっと琴海にとって、今こうやって言うことさえ躊躇ったことだったはず。 琴海の性格上。 「妬きもちか」 「べ、別に!」 「はいはい」 挙げ句「行こう!」と、一人先に歩き始めた。 後ろ姿がちょこちょこハキハキ動いていて可愛らしい。 やっぱり、誰より目の前の琴海が一番だ。 「琴海」 そっと名前を呼べば、少し不機嫌な顔がこっちを向く。