「んー、そうだなー」

ああ、気づいていない。

どこへ食べに行こうかと考えている彼に、私は呆れて息を吐きそうになった。

もうウンザリだ。

どうして気づいていないのだろう?

丸わかりなウソにも、作り笑いにも、言葉にも、彼は気づいていない。

本当に、バカな男だ。


「美味いな」

そう言った浩治に、
「うん」

私は首を縦に振ってうなずいた。

浩治が夕飯に決めたところは回転寿司店だった。

休日と言うこともあり、店内は大勢の家族連れや友達連れで賑わっていた。

浩治が回ってきたそのお皿を手に取った。