去年の秋に会社で行った健康診断で、父は医師から“糖尿の気がある”と注意されたと言っていた。

それ以来、父は甘いものをひかえている。

好物である豆大福も、それ以来食べていない。

おみやげは何か違うものにしようと話しあったのに、浩治はまた覚えていなかった。

――私、本当に彼と結婚してもいいのだろうか?

そう思った時、頭の中に藤の顔が浮かんだ。

そして、あの言葉も。

――俺の3年分の片思いは報われたのかもな

「ついたよ」