だけど、
「私は藤のことが“好き”だから」

私は藤に言った。

“好き”だから、浮気した。

藤に気持ちを許した。

あんな状況の後だって言うのに、私は何を言っているんだろう。

自嘲気味に笑おうとした私に、
「そんなことを言われたら、どうしようもないな」

藤が言った。

「愛莉のこと、ますます好きになる。

愛莉がいなくなったら、俺絶対死ぬな」

藤は続けて言った後で、自虐的に笑った。

それは私だって一緒だ。

私だって、藤がいなくなったら絶対死ぬと思う。

依存症かと思うくらい、藤に恋をしているのだから。

「早く食べて、帰ろうか?」

そう言った私に、
「うん」

藤は首を縦に振ってうなずいた。

今すぐにでも、藤と愛しあいたいから。