名残惜しいと言うように、唇が離れた。

お互いの唇の間に、銀色の糸が引いていた。

「――ッ、ああっ…!」

その瞬間、中の灼熱が動いた。

それに答えるように、私は藤の背中を強く抱きしめた。

「――んっ、愛莉…」

「――ッ、藤…」

名前を呼んだ藤に答えるように、私も名前を呼んだ。

それに藤は答えるように、私の肌に唇を落としてきた。

額、まぶた、頬、唇…順番に、唇が次々と落とされる。

それは、甘い魔法。

初めてかけられる甘い魔法に、敏感に感じてしまう。

「――愛莉…」

「――ッ、あっ…!」

藤が強く抱きしめてきて、私もそれに答えるように抱きしめた。

――あなたがかけた甘い魔法が、永遠に解けないで欲しい。

遠くなって行く意識の中で、私は何度も心の底から願った。