理想の男~Magic of Love~

“腹違い”は、ドラマや小説じゃない限り聞かない言葉だ。

藤はつけくわえるように、
「俺は、亡くなった前妻の子なんだ。

蘭はその後に父親と再婚した後妻との間に生まれた子供、だから腹違いなんだ」
と、言った。

「…複雑、なんですね」

何にも思い浮かばなくて、正直に自分が思ったことを言った。

「ああ、複雑だ」

藤は呟くように返したのだった。

また、沈黙が私たちを包み込んだ。

その沈黙を先に破ったのは、
「もういいか?」

藤の方からだった。

「えっ?」

私が聞き返すと、ガタンと藤が椅子から立ちあがる。

「あの…」

引き止めようとする私に、
「帰るんだろ?」

藤は言った。