理想の男~Magic of Love~

私好みの大きな手に髪をクシャクシャに乱される。

私はその手を振り払うことができなくて、藤のさせたいようにさせた。

藤は悲しそうな目で私を見つめて、
「片思いが報われなかったのは、つらい。

振り向いてくれなかったのは、苦しい。

結ばれなかったのは、痛い。

でも…」

そこまで言った後、藤は大きな手を離した。

あ、待って。

「んっ?」

「――す、すみません…」

思わずつかんでしまった手を離した。

私ったら、何をしてるのよ。

藤は笑って、
「男は好きな女の幸せを願う生き物だから」
と、言った。