理想の男~Magic of Love~

痛いのは、私の方だ。

あなたを忘れたいのに、胸が痛い。

あなたに当たり前のことを言っているだけなのに、胸が痛い。

胸が痛いよ…。

胸が苦しいよ…。

私は口を開いて、
「――もう私に構わないで…!」

藤に向かってそう言った瞬間、涙がこぼれた。

突然泣き出した私に、藤が驚いたと言うように目を見開いた。

驚いている彼に構わず、
「私、もうすぐ結婚するんです…。

婚約者がいるんです…。

だから、構わないで欲しいんです…」

私は言った。

発した言葉は、藤を傷つけている。

それは、私でも痛いくらいにわかった。