大きな鞄



始発の電車が動き出す少し前に、やっと駅までたどり着いた。
僕の息はかなりあがっている。
そんな僕を見て、ありがとね。なんていいながらも美里の顔は少し笑っている。

イタズラに笑う顔は、高校の時の彼女の顔を思い出させた。

のんびりとしている僕を、美里はよくからかっていた。
そのたびに僕は、ほんの僅かだけムッとした顔をしながらも、美里の笑顔が愛らしくて、些細なイタズラを一緒に笑い飛ばしていた。

そん日常がとても好きだった。