大きな鞄



開いたドアの向こうには、美里と夢の詰まった大きな鞄。
背中を向けたままの美里は振り返らない。

強がりな美里だから、きっと泣き顔を見られたくないんだよね。

僕は、頑張るといった美里に何もいえない。
僕には、美里の未来が遠すぎるから。

この町が似合いすぎる僕には、キラキラ光る美里の未来をまっすぐ見ることができない。

素直に頑張れっていえない。