「裕也。明日、時間作ってね」
美里は、僕へといつも通りの笑顔を向ける。
その表情は今までと少しも変わらなくて、この先にある大きな変化など微塵も感じられない。
「……うん。わかった」
美里の笑顔とは対照的に、僕の顔はきっと歪んでいるだろう。
僕だけが戸惑っている。
だって、うまく笑えないんだ……。
美里は、そんな僕を見て少し困った顔をする。
腕を絡めて歩く街。
少し前だったら、僕の顔だって笑顔に満ち溢れていた。
だけど、グズグズと引き摺ってしまう僕は、やっぱりどうしてもうまく笑えないんだ……。
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