ーーー 次の日から俺は必死に働いた。 菜知のことを思い出さないように、 朝から入り17時までをほとんど毎日繰り返した。 親父は俺の変化に気付き「何かあったのか」と聞いてきたが、 まだ言えないと答えた。 忘れたいんじゃない、ただ 思い出せばすぐに会いたくなるから 思い出す時間を作っちゃいけないんだ。 そうやって毎日を過ごして、1週間がたった頃、 仕事終わりで家までの道を歩いていると 誰かに声をかけられた。 「渡辺康太くん、ですか?」 40代くらいの女の人で知っている顔をでは無かった。