「俺さ、琥珀はじめる前…黒神の総長だったんだ。やべぇこととか散々やってきた。ついこの間まで、捕まってたしな…」
「捕まって、た?」
みんなが動揺しているのがわかる
「そう、薬だとかそんなくだんねぇもんのためにさ……俺は何をやってたんだろうな。今ではそれが不思議でたまんねぇよ」
薬物……なんて残酷なものなんだろう
「最初は、無理矢理先輩にやらされた。それだけだったのに…気づけば自分でもどうしようもないくらいさ、溺れてた」
こうも簡単に人を地獄に突き落とす
「もう、ほんとに狂ってたんだと思う。依存して依存して、おかしくなってた。頭も、体も、心も……」
どうして、人は自分の傷つくものに手を伸ばすのだろう
最初は興味本位かもしれない
でも、目先の快楽を求めていたら、地獄を見るのがオチだ
楽して幸せになれるはずがない
そんなの分かっているはずなのに
みんな、そこに手を伸ばしてしまう
誰もが持っている
『弱い心』
のせいだ


