「すみません。遅刻しました…」

そこにいたのは綺麗すぎる美少女だった。
大きく澄んだ瞳、サラサラな茶色がかった髪、白い肌、そして艶々なサクランボのような赤い唇、スラッと伸びた手足…。
完璧すぎて言葉にできなかった…。
こんな綺麗な子がいたものか、とまで思った。

クラス全体が彼女を見る。
この子か…噂の新入生は、と誰もが思ったに違いない。
この、学校の生徒、そして入学してくる全員が一度は耳にしたことがある噂。それは…

『男ばかりの松崎学園に美少女が入学する。』

ほんとうに美少女だった。噂は侮れんな…
噂が本当でクラスは彼女を呆然と見つめる。

そして、クラスメイトが口々に彼女を絶賛しだした。

「めっちゃ可愛いじゃん!」

「やばくね?レベルたかっ!」

「やべぇな…俺もろタイプ!」

という感じで段々騒がしくなるクラス。
ちらっと坂上さんの方を見ると…
殺気がでていた…

「やべぇな…これは…」

「どうしたん?涼。もしかして…あの新入生に惚れたんか!?」

すっとんきょうな声をだす、喜(のぶ)。

「お前まじかっ!?え!?あの 涼がっ!?まあ、あのかわいさなら惚れてもしゃぁねぇか」

「ちげぇよ。喜だまれ。坂上さん見てみ?」

「坂上…さん……………?ひぃっ!!殺気がっ!怖いっすよ、坂上さん。担任なんて俺生きていける自信がないっ!」