「空~、ここに居るの?」

「やばっ!萌依、ちょっと隠れさせて。」

そう言って空くんは急いで私のベットの横に隠れた。

「ここに、空来てない?」

綺麗なお姉さんというよりはおばさんに近い感じの女の人が、私の病室を覗いてそう言った。

「来てないですよ^^」

と返すと、

全くどこに行ったのかしら、などと言いながらまたもや別のところを探し始めた。

「空くん、いいよ」

そういって諭せばゆっくりと頭を動かし、別途の横から這い上がるようにして出てきた空くんは、犬みたいで、すごく可愛かったんだ。


「空くん、今の人はお母さん、でもなんで?検査でもあるの?」

なんて少しうつむき気味に尋ねると、

まぁそんなところなんて、

頭を少し掻きながらそう教えてくれた。


「何かの病気?心臓?」

「そう、」

「私も、」

そういえば、空くんは驚いたような顔をして私を見つめた。

そりゃそうだろうな、

あって間もない人に自分と同じ病状を抱えた人がいたら私だって驚く。

それと同じように空君は驚いた。

心臓っていっても一概に同じとは言えないけれど、

同じ部位ってだけで、

何故か親近感が沸くから不思議だ。

私だって、

いま同じだってしれて、

少しだけ安心した、

心臓なら私と同じだから少しならサポートできるとか、

少しだけ思った自分がいることは、

誰にも言わずに心の中にしまっておくことにする。

そんなこと言うと、

何言ってんだ、お前?って感じになるのは目に見えてるし、

いま、そんなこと言ったってしょうがないし、

なんて、ボーッと考えてたら、

いつのまにか空くんに名前を呼ばれていた。

「ごめん、、何?」

「いや、ぼーっとしてたから。」

「あったかいね、今日」

何を考えていたか聞かれないように、

慌てて話題をそらす。

「そうだね、空も綺麗だし。」

気づいたかもしれない、

気づいてないかもしれない、

どっちにしろ今の話題について行ってくれてるんだったらそれでいいかもなんて思っている。


「綺麗な空、綺麗な雲、今日はいい日になりそうだね」

なんてニッコリにいうと、

「いま呼び捨てにされて、しかも綺麗っていわれたのかと思った」

なんて小悪魔みたいな笑顔で空が言うから、

「もちろん空くんも綺麗だよ」

と笑顔で返すと豆鉄砲をくらったような顔で、私を凝視している空くんが目に入った。

「そんなに見なくても」

なんて言い返すと、

照れたように、そっぽを向いた。

耳まで赤い彼にはあえて何も触れない、

それは私なりの優しさだと思うから。


恥ずかしがって、照れてる男の子は珍しいから

シャッター音を消して、

こっそり隠し撮りしてたなんて、

空くんには言えっこないな、

なんれ心の中で苦笑した。