香里さんのこと、 嫌いってわけじゃない。 けど、お母さんのほうが好きだ。 もし、 お父さんとお母さんが 離婚するなら お母さんについていきたい。 お父さんを不潔だとしか 思えなくなっていた。 「よ、よろしくお願いします。」 でも、 母親になるかもしれない 香里さんに冷たくする 勇気なんて私にはなかった。 私、 みんなにいい顔してたんだ。 私、卑怯だよ。 その日から けっこう頻繁に 香里さんは家に来た。 そんなことがあって 季節は冬に変わっていた。