紅炎と雷炎 ①



美樹「………………」


翔「………美樹?」


美樹「………聞かれたかった? 過去…何があったの?って」


翔は、首を横に振った。


美樹「でしょ? 誰にでも聞かれたくないことや、言いたくないことはある」


みんな、あたしの言葉を真剣に聞いてる。


美樹「あたしは、みんながどんな風に生きてきたかはしらない。 でも……」


誰、一人として笑う人がいない。


美樹「聞かれたくないことは見てれば分かる。
あたしは、誰かの過去を無理矢理聞きたいなんて、思ってない」


美樹「…でも、相手が心を開いて、話してくれるのは別。 いくらでも聞く。 分かった?」


……あたしもみんなに知られたくない過去がある。


だから、本当は聞かないんじゃなくて、聞けないだけかもしれない……。


…沈黙が続く。


その沈黙を破ったのは、翔だった。


翔「…美樹、ありがと」


美樹「どういたしまして」


翔「………俺、美樹になら過去…話せる気がする」


翔以外「え?」


晃「どうした? 翔…」


翔「何か、美樹になら話しても大丈夫な気がする。 ……美樹、俺の過去、聞いてくれるか?」


美樹「さっきも言ったでしょ? 相手が心を開いて話してくれるなら、聞くって!」


翔「ありがと…」


そう言い、翔は俯きながら話し出した。