紅炎と雷炎 ①



翔「ん? どうし……っ、止めろ!!!!!!」


美樹「え?」


ボールへ伸ばした手を翔にふり払われた。


…そんなことより、


美樹「どうしたの! 翔?」


翔が震えていた。


あたしが大声を上げると、陣たちがいそいで駆け寄ってきた。


陣「どうした!」


美樹「分からない。 翔がいきなり震え始めて…」


陣「何をした」


美樹「あそこのボールを取ろうと思って、手を伸ばしただけ」


陣「それだ」


それって何? 


陽「ごめんね、美樹ちゃん。 俺らの口から理由は言えない」


ってことは、翔の過去のトラウマを引き出しちゃったってことだよね…。


晃「翔…大丈夫か?」


あの晃がなだめてる。


翔「俺に、…っ、触るな!」


翔の背中を撫でようとした、晃の手を翔は振り払った。


美樹「ちょっ!」


陽「いいんだよ、みきちゃん。 いつものことだから…」


悲しそうな顔をして言う陽。


みんなの顔を見ても、陽と同じように悲しそうな顔をしていた。